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岐阜県の岐阜県土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市を含む東濃地方は
「美濃焼」と呼ばれる焼きものの産地。
粘土などの原料や、窯を焚くための燃料が豊富にとれるなど、
良質な焼きものをつくるための条件が揃っている美濃は、
日本でも最古の歴史を誇る焼きものの郷として知られています。

そんな土岐市下石町にある「ヤマ亮横井製陶所」は、大正13年創業の美濃焼の窯元。
鋳込(いこ)み製法を中心に、成形から焼成まで行っている製陶所です。
ヤマ亮横井製陶所が得意とする鋳込み製法とは、
石膏型に液状にした磁器土を流し込む、伝統的な成形方法のひとつ。
とろみのある液状にした磁器土である泥しょうを
泡が立たないように石膏型にゆっくりと流し込み
10分ほどすると、泥しょうの水分を石膏型が吸収することにより
厚さ3ミリほどの磁器土の層が石膏型の内側にできあがります。
型内の余分な磁器土を排泥し、さらに30分ほど置き、
まだ柔らかい状態の層を石膏型から丁寧に取り出し、
ゆっくりと時間をかけて乾燥させます。
乾燥させたら面取りなど表面を滑らかにする作業をひとつひとつ手で行った後に
素焼きをし、銅版や絵付けなどで装飾を施して、
さらに製品にあわせた種類の釉薬をムラなくかけ、
1本ずつ窯の中に入れられて焼成が行われ、ようやく製品が完成します。
型を使うとはいえ、手間ひまがかかる鋳込み製法は、
現在ではこの技術を持つ製陶所が少なくなっているとも言われています。

古くから神仏具、酒器や干支関連商品の製造販売を行っているヤマ亮横井製陶所ですが、
3代目の横井亮一さんは“使って楽しい器”をコンセプトに、オリジナルの器も製造。
縁起物である干支置物の飾る楽しみに、
杯や器としても楽しめる要素をプラスした干支杯『LUCKY 12』や、
すり鉢と石臼の長所を足した器『SURIUSU(スリウス)』など、
伝統的な製造法を守りつつも、現代のライフスタイルに合わせた器を
次々と生み出しています。
器を愛でる楽しみと、使う楽しみを自然と教えてくれる
ヤマ亮横井製陶所のオリジナルの器たち。
美濃焼の伝統だけでなく、日本独自の伝統行事や食文化を、
楽しさとともに若い世代へ伝えてくれそうな存在です。