りんごの木の魅力を伝える工房
日本一のりんごの生産地、青森県の弘前市。
りんご園に囲まれた「木村木品製作所」は、
「どこかにほっこり感があること」を大切にしながら、
コツコツとものづくりをしている木工房。
そのプロダクトは食卓を飾るテーブルウエアから、
おもちゃ、家具まで多岐に渡っています。
地元で4代続く木工屋である木村木品製作所の木村崇之さんが、
商品を製作する材料として、約16年前から採用しているのがりんごの木。
「大量に廃棄処分になるりんごの木をなんとか使えないか?」と
知人に相談を持ちかけられたことがきっかけなんだとか。
もともと青森には、りんごの木がたくさんあります。
でも、収穫しやすいように剪定されて背を低くしているため、
スギやヒバ、マツのように長モノが取れません。
しかも硬くて節目が多いので、材木として使えるのは
入手した部材のせいぜい約5割程度なんだとか。
さらにりんごの木は通常、材木屋では扱っていないため、
木村木品製作所では不要になったりんごの木を自分たちで伐採。
乾燥から製材まで、延べ3年をかけて行っています。
いまではそのノウハウも身についてきたとはいえ、
それほどまでに効率の悪いりんごの木を、なぜ使い続けるのか?
「サイズ的に小物しかつくれないのですが、
さわった時のしっとり感とか、木目の感じとか
りんごの木には、なんとも言えない圧倒的な存在感があるんです」と木村さん。
「そもそも初代である僕の曽祖父は、建具の技術を利用して
青森ひば製のりんご栽培用ハシゴを開発した人。
以来、うちはりんごの恩恵を受けていて、縁がとても深いみたいです」