いまを感じる、新しい漆器のカタチ
「昔から日本的なものづくりに興味がありまして。
ある時、“japan”という単語には漆器の意味もあると知り、
ふと、漆の勉強をしてみたいと思ったんです」
そう語る藤中知幸さんは、鳥羽漆芸の鳥羽鐐一氏のもとへ弟子入りした後、
2010年に独立した若手の漆職人。
2013年には、大畑友則さんと瀧ひろみさんによるデザインユニット
「switch design」とともに、新しい漆器ブランド「オトモシッキ」をスタート。
ブランド名は、日々の生活の「おとも」になるような
新しさのある漆器を提案したいという思いからネーミング。
「漆器というと年齢層が高い人が好むイメージですが、
若い人でも手に取りやすく、より親しみやすいものをつくりたい。
オトモシッキでは漆器の伝統の技術を受け継ぎながらも、
新しい技術、手法、デザインを積極的に取り入れて、
“いまに生きること”を作品、商品に表現していきたいですね」
そんなオトモシッキの第1弾商品が、
木の側面に漆をあしらったモダンなデザインの花器“花のオトモ”と
紙に漆を塗り込んだ “和菓子のオトモ”と“おやつのオトモ”。
特に紙を使ったシリーズは、モダンなデザインだけど
どこか温もりを感じる佇まいが新鮮です。
「紙を使っていることにみなさんびっくりされますが、
この紙を使った技法は古代からあったんです。
でも僕たちは、昔とは違う新たな方法で紙自体の強度を上げています。
そのベースになったのは、鳥羽漆芸で学んだ下地に砂を使う漆塗りの技法。
デザイン、製造効率、生産性など、ひとつひとつを積みあげて
全体としていままでにない漆器ができたのではないかと思っています」
また藤中さんは、「紙を使うことに関して、いろんな可能性を感じた」とも。
第2弾のシリーズも近いうちに発表予定というから楽しみです。