頑固な麺作りが共感を呼ぶ製麺所
日の出製麺所は、昭和5年(1930年)に三好秀三郎さんが香川県坂出市の
現在の場所に創業し、80年以上にわたって麺作りに情熱を傾けてきました。
讃岐うどんは一般的に香川県内で作られたうどんを指しますが、
県内に4つある製粉会社のうち3つが坂出市にあるため、
日の出製麺所はうどん作りに恵まれた環境といえます。
言うまでもないことですが、麺作りにおいて小麦粉は最も重要な素材のひとつ。
高価だからといって質が良いとは限らないそうで、良い小麦を見極められるかどうかが、
職人の良し悪しを決めるといっても過言ではありません。
瀬戸内の海水塩をその日の温度と湿度によって調整して塩水を作り、
すぐには使わずしばらく寝かせておくのもポイントです。
その塩水を小麦粉と混ぜ合わせるときもやはり天候に合わせた微調整が必須で、
職人の長年の経験と勘ができあがりの味とコシを左右します。
こうしてその日の加減で練り合わせた生地を熟成させ、それを伸ばして包丁を入れます。
以上がうどん作りのすべてですが、シンプルな工程だけに
職人の腕が大きく問われることは想像に難くないはず。
先代から技を受け継いだ2代目の三好清さんはこの道60年の大ベテランで、
三好さんの作るこだわりの麺を求めて、県内外から多くの人が訪れます。
製麺所の店頭では、お昼の1時間だけ打ちたてのうどんを食べることができます。
もともとは卸売りと店頭でのうどん販売しかやっていませんでしたが、
店頭で食べたいという要望があまりにも多いため、
15年ほど前から麺作りに差し支えのないお昼の11時半から12時半のみ
食堂として営業しているのです。
注文をして出てくるのは基本的に麺のみで、つゆや醤油、薬味などをお好みでかけて、
かけうどんや醤油うどんを自分で作るというユニークなシステム。
あくまでも麺が主役という潔いスタンスが、共感を呼ぶ製麺所です。