仙台伊達家御用蔵として美食美酒を探求する蔵
仙台の武将といえば伊達政宗。
美食家で知られた政宗は酒にもかなりこだわりがあったようで、
腕の立つ杜氏を呼び寄せて、仙台城内に専用の酒蔵を建てたほど。
そこだけで31種類もの酒があったというから驚きです。
このように仙台宮城の酒造りには、殿様に献上するための
高級酒がルーツという全国的にも珍しい背景があります。
そんななかで元禄元年(1688年)に創業した勝山は、
安政4年(1857年)、伊達家より御酒御用酒屋を拝命され、
現在は宮城県に唯一残る仙台伊達家御用蔵となっています。
当時の伊達の殿様は、お酒をかなり自由に楽しんでいたようで、
季節を愛でるために花や果実を漬け込んだり、香辛料を入れたり、
夏はかき氷にかけたり、なんてことをしていたそう。
時代が変わっても殿様に献上するための最高の酒を作るという勝山の思いは変わらず、
なおかつかつての殿様のように常識にとらわれず、
粋に日本酒を楽しむ方法なども提唱しています。
また蔵元の迎賓館として幕末に建てられた「勝山館」は、
戦争で焼失するまで仙台を代表する文化サロンの役割を担い、
美食美酒を提供する場になっていました。
1991年に「仙台 勝山館」として再興され、“一食懸命”をモットーに
美食美酒を追求した結果、添加物を使わない手作りソーセージが誕生。
グルメ漫画『美味しんぼ』に紹介されたほか、
著名人やグルメ評論家にも高い評価を得ています。
お酒そのものの追求はもちろん、お酒を取り巻く文化を守りつつ、
新たな楽しみ方の探求も惜しまない蔵元といえるでしょう。