水との運命的な出会いが生んだ味わい深いお酒
榮川酒造は明治2年(1869年)に、会津若松市内で創業しました。
戦中戦後の清酒が極端に不足していた時代を経て昭和末期まで、
会津若松駅からほど近い蔵で酒造りをしていましたが、
5代目の宮森久治さんが、酒造りに適した水を求めて会津一円を歩き回ります。
そして辿り着いたのが、磐梯町にある慧日寺。
9世紀頃、この寺には徳一という法曹の下、
約4000人もの僧兵がいたという伝説を耳にしたのです。
集落のあるところには、きっと名水があるに違いないと考えた5代目が調査をしたところ、
探し求めていた酒造りに最適な水を有していることが判明。
そして迷うことなく磐梯山西山麓に蔵を移転することを決意した直後に、
この地の水が日本の名水百選に指定されたそうです。
森林に囲まれた龍ヶ沢湧水は、磐梯西山麓湧水群を代表する湧水で、
夏でも水温9度の冷水が枯れることなくこんこんと湧き出ています。
古くから霊水として知られていたようで、平安時代の雨乞いの記録も残っています。
日本名水百選を仕込み水に使用している酒蔵は、国内でも数蔵しかなく、
しかも現在の蔵は磐梯朝日国立公園内の大自然に囲まれた地に位置しています。
こうして水との運命的な出会いを果たしたことで、
キレがありながら味わい深い、榮川のお酒が誕生。
とはいえ、いい水を使えば必然的にいい酒ができるわけではありません。
一般的な酒造りの工程にも、榮川酒造ならではのこだわりの工程がいくつかあるそうで、
お客様に見える酒造りをするために、蔵には見学エリアを完備しています。