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国立公園八幡平や岩手山と共に、岩手県中央部の八幡平市に位置する安比高原。
美しいブナやアオモリトドマツなどの広大な原生林が広がり、
四季折々に開花する高山植物、春の山菜などの自然の恵みに恵まれた安比高原は、
古来より蝦夷馬の産地として開かれてきたといわれています。
また昭和30年代頃まで、その原生林は浄法寺漆器の木地材や、
薪炭の生産地として地元の産業を支えていました。
しかし昭和40年代に入ると、畜産などの第一次産業の環境変化によって
牛馬の放牧が減り始め、草原の藪化や森林化が急速に進んでしまいます。
地元関係者や自然愛好者から安比高原の景観保全がうたわれるなか、
1977年に細野高原牧場として現在の「安比高原牧場」は誕生しました。

総面積約100ヘクタールという広大な敷地を持つ安比高原牧場では、
ミルクプラントが完成した1981年から乳製品が製造されはじめ、
その2年後にはナチュラルチーズの製造も開始。
1993年にはクッキー製造室も完成し、手づくりクッキーをはじめとする
菓子製品の製造も開始されることに。
そのさまざまな製品の主原料となる高品質な牛乳を生産するために、
安比高原牧場では乳牛の管理やそのエサとなる牧草の自社生産、
さらには牧草地の土壌改良や管理までが一貫して行われています。
また安比高原の自然によって自然ろ過されたミネラル豊富な湧き水は、
製品づくりだけでなく乳牛の飲み水としても利用されています。

岩手地区の関連事業で唯一の第一次産業である農業を企業的に行い、
高品質で安全でおいしい食品の提供を目指す安比高原牧場。
かつて失われかけた安比高原の美しい景色を取り戻した牧場で
つくられる製品のおいしさには、高原の豊かな自然の恵み、
おいしいものを届けたいというつくり手の熱意、
そして安比の大自然をいつまでも守りたいと願う
地元の人々の想いがこめられているのかもしれません。