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宇和海を南に臨み、暖かな気候に恵まれた愛媛県西予市明浜町。
空から降りそそぐ太陽の光、海から照り返す反射光、
そして白い石垣を積んだ段々畑の石灰岩に反射する光、
この3種の豊かな光によっておいしく育てられる柑橘類は、
このまちの名産物のひとつ。
このまちで40年ほど前から化学肥料ではなく有機物を使い、
農薬に頼らないみかんづくりをはじめ、
エコロジカルなまちづくりを実践している「無茶々園」。
現在、明浜町には80軒もの無茶々園の農家があり、
みかんの有機栽培に取り組んでいます。

1974年、農薬を使った栽培方法に疑問を抱いた
農業後継者の若手が集まり誕生した無茶々園。その名前には
「無農薬・無化学肥料栽培なんて無茶なことかもしれいが、そこは無欲になって、
無茶苦茶に頑張ってみようや」という意味がこめられていたのだそう。
しかし当時は、環境や健康への人々の関心が高まり、
有機栽培・有機農業が広く知られる現代とはまったく違う状況。
まずは研究園での試作栽培から無茶々園はその活動をスタートさせ、
コツコツと経験と実績を重ねていきました。

90年代に入ると若い農業者にその活動が浸透し、
柑橘類だけでなく明浜産のちりめんじゃこや真珠の販売を開始。
そして97年には新規就農者の受け入れ、育成機関を設立し、
無茶々園の活動も明浜町以外の地域へと次第に広がっていきます。
そしていまでは愛媛県南端の愛南町でアイガモ農法をとり入れたお米、
松山市のはずれ、北条地区に拓いた直営農場で農薬に頼らず育てられる野菜、
地域の農産物や産物を素材にした加工品を生産したり、
柑橘類をベースにしたコスメブランド「yaetoco(ヤエトコ)」を
設立するほどに成長しました。

現在は生産活動をデジタルで管理しながら、環境改善に向けて
定めた目標の達成という新たな試みに挑んでいる無茶々園。
40年前の誕生当初から根底に流れる“自然環境や消費者の健康を守りながら、
自分たちが生まれ育った故郷を面白くしよう”という理念のもと、
地元に根ざした新しい農業システムの構築を目指し続けています。