長崎の海峡で手塩にかけて養殖される鯛たち
古来よりお祝い事や、めでたさの象徴とされている鯛。
そんな鯛の日本一の水揚げを誇るのが長崎県。
長崎には鯛が好む、潮の流れが速く、かつ深さのある海峡や瀬戸が多く、
いたるところで鯛が水揚げされているのだそう。
そのひとつが長崎市の最東部にある橘湾海上に位置する牧島。
底引き網魚や養殖業が盛んで漁業の島として知られるこの牧島で、
鯛専門活魚屋を営みながらブランド真鯛「長崎牧島美鯛」の養殖を行っているのが
「こば活水産」です。
潮の流れの速い牧島の海峡に設置された生け簀で、
天然の鯛と近い環境で育てられている、こば活水産の鯛たち。
水深200メートルまでの海底に暮らす天然鯛の生息環境に近づくようにと
生け簀には遮光ネットがかけられ、さらに鯛たちがストレスを感じないように
ひと枡あたりの魚数を制限しているのだそう。
また薬品などは一切使用せず、天然の鯛が食べている
エビなどの甲殻類を中心に与えるという徹底ぶり。
そんな恵まれた環境で手塩にかけられた鯛たちは成長すると船上で活け締めにされ、
すぐさま自社工場で鯛茶漬けや鯛かぶと煮などへと加工・冷凍。
鯛専門活魚屋ならではの経験や技術と、量よりも質を優先した
養殖方法の成果がしっかりとおいしさに表れていることもあり、
商品の人気は全国的に広まりつつあります。
近年、農業における自然環境の保全と開発のバランスが注目されていますが、
今後は水産業においても注目されていくはず。
自然が生み出した環境を大切に活用しつつ、
人間の知識と技術をバランスよく融合させたこば活水産の養殖方法が、
水産業の理想的なロールモデルとなる日もそう遠くないかもしれません。