アンアンやハナコを刊行するマガジンハウスのWebマガジン「colocal コロカル」と「リンベル」による、
　 ご当地グルメや人気スイーツ、インテリアからキッチン用品、生活雑貨＆工芸品まで
　 全国からおすすめの逸品をお届けするネットショップです。大切な人へのプレゼント選びにもどうぞ。

秋田県を拠点にしているワークス・ギルド・ジャパンは、家づくりを行う一方で、
秋田の地に根づいてきた木工産業や伝統工芸を取り入れた
木製玩具の企画・デザインを手がけています。

同社が最初に手がけたプロダクトが、
木製のキックバイク「BEND WOOD CYCLE(ベンドウッドサイクル)」。
北欧やドイツでは、子どもに自転車の乗り方を学ばせるときは
まず木製のキックバイク(トレーニングバイク)を使う文化があるそうです。
これは、秋田の伝統工芸の技術「曲げ木」でつくれるかもしれない。
そう考えたデザイナーの大野英憲さんは、一路秋田へ。

職人さんに相談するデザイナーの大野さん

「右も左も分からないまま、とにかく秋田に訪れ、
その翌日には秋田県庁の杉振興課に行きました。
まずは、そこで新しい木製品プロダクトの相談。
その足で秋田の木工関連企業数社を、ノンアポで訪ねました」
人から人へと相談するなかで、職人さんとのネットワークをゼロから構築した大野さん。
無事協力してくれる職人さんが見つかりましたが、そこからが本番です。
ハンドル、フロントフォーク、メインフレーム、泥除け、サドルといった
パーツに曲げ木を取り入れたデザインを組み込みながら、
職人さんと試作に試作を重ね、1年かけて製品化したそうです。

秋田の2つの工場の分業によってつくられているベンドウッドサイクル
パーツ組み立てを担当している、湯沢市の工場の工場長さん大野さん曰く
「あらゆる技術を持っている方」と絶対的な信頼を寄せます

「遊具は一度でも壊れたら致命的なので、利用者や利用環境に過失がない限り、
絶対壊れてはいけない。お願いしている工房は、テーブルや箪笥、小物入れ、
学習机や跳び箱などをつくっている方たちなので、
子どもの遊具に関して経験もあり安全性はかなり意識しています」(大野さん)
完成後、発表したドイツの展示会「ユーロバイク」では、
「美しい」と高い評価を受けたそうです。

ドイツのミュンヘンで行われる自転車の展示イベント「ユーロバイク」での様子

秋田の伝統技術を駆使した、やわらかい木肌の玩具。
ワークス・ギルド・ジャパンは、
今後も職人さんと二人三脚でものづくりに取り組んでいきます。
「『木育』というテーマに沿いながら、
日本にも世界にも無いコンセプトのプロダクトをつくりたい。
そして、その製品が近い将来に需要を伴って、
スタンダードに育ってくれればいいですね」

ベンドウッドサイクルの合板をプレスして整形しパーツを切り出す
工場の工場長の佐々木さん(左)と大野さん(右)